2006年 10月 16日
アイルランドの演劇事情 |
夕方、再度トリニティに戻り、今度は演劇学部の学部長とのミーティング。彼は、日本に滞在した経験があり、文学座の藤原新平さんを講師に招くなど、関心が高い。専門はフランス演劇だそうなのだが、教育熱心な教授とみえた。86年に設立された新しい学部。
演劇教育について尋ねてみたところ、現在ダブリンには2つのスクールしかなく、こことプライベートのアクティングスクールがあるだけだそう。それ以前は、教えられる先生がそもそもいなかったという。英演劇の影響が強いのかと思っていたら実際は、ル・コック、コメディア・デ・ラルテやサーカスなど、他ヨーローッパいろいろ取り入れたカリキュラムをつくっているという。実践も重視していて学生専用の劇場もある。それ以前は養成機関が無かったため、70年代に他国で留学してきた人たちが戻ってきたのが80年代、彼らが教育者となってできたのが今の状況。ベケットも輩出した学校だし演劇教育には歴史があるかと思っていたのに、ちょっと以外だった。しかし「評論家は山のようにいる」と苦笑いする学部長。アカデミズムから実践を重視した教育に移行途中のようだ。
アイルランドの文化政策を少しだけ。劇場はアンサンブルを持たず、公演ごとにアーティストを雇用する。劇団もほぼプロデュース型で俳優達も公演単位の契約。原因は、アーツカウンシルのばら撒き型の少額助成金システム。年間を通して雇用ができないシステムになっている。しかし、近年の好景気で文化助成も少しずつ変わり、Culture Irelandという、アイルランド文化を他国に広める、ドイツのゲーテ・インスティトゥートのような機関が出来て、海外公演への助成金が降り始めている模様。そう、アイルランドはここ数年ITバブル景気だったのだ。ポーランドや中国から移民をどんどん受け入れ「The land of thausand of welcom」と呼ばれていたのだが、今は頭打ちのようだ。
夜に観たCorn exchangeの作品は、残念ながらピンとこず。フィジカル・シアターで、コメディア・デ・ラルテ風のメイクを施し、アイルランドに生活する人々の何気ない日常と仕草がちりばめられている作品。音楽と美術はきれいであったが、フィジカル~にしては身体トレーニングが出来ていない人もいるし、うーん。。約10ヶ月のワークショップで、役者たちの動きを作家がスケッチしながら作品をつくりあげた、という。苛められるウクライナ人の移民の姿が痛々しくあったし、レジに並ぶ人たちの会話など面白い部分もあって、やろうとしていることはわかるのだが…。でも、観客は湧いており、劇評もどれもべた褒めらしいのだ。好みの問題なのか文化の違いなのか??
観劇後、再びShipley氏と世界の演劇シーンの四方山話。ダブリンフェスは3年契約、今期で2年目なのだが、トロントのStradford Festival の芸術監督のオファーがあり、来期はそちらとの掛け持ちになるそう。ファンドレイズの工夫や、若手育成のアイデア、今後の動向の読みなど、非常に参考になる話をたくさん聞かせてもらう。アイルランド最後の夜は、期せずしてフェスティバルディレクターと過ごすことになった。
演劇教育について尋ねてみたところ、現在ダブリンには2つのスクールしかなく、こことプライベートのアクティングスクールがあるだけだそう。それ以前は、教えられる先生がそもそもいなかったという。英演劇の影響が強いのかと思っていたら実際は、ル・コック、コメディア・デ・ラルテやサーカスなど、他ヨーローッパいろいろ取り入れたカリキュラムをつくっているという。実践も重視していて学生専用の劇場もある。それ以前は養成機関が無かったため、70年代に他国で留学してきた人たちが戻ってきたのが80年代、彼らが教育者となってできたのが今の状況。ベケットも輩出した学校だし演劇教育には歴史があるかと思っていたのに、ちょっと以外だった。しかし「評論家は山のようにいる」と苦笑いする学部長。アカデミズムから実践を重視した教育に移行途中のようだ。
アイルランドの文化政策を少しだけ。劇場はアンサンブルを持たず、公演ごとにアーティストを雇用する。劇団もほぼプロデュース型で俳優達も公演単位の契約。原因は、アーツカウンシルのばら撒き型の少額助成金システム。年間を通して雇用ができないシステムになっている。しかし、近年の好景気で文化助成も少しずつ変わり、Culture Irelandという、アイルランド文化を他国に広める、ドイツのゲーテ・インスティトゥートのような機関が出来て、海外公演への助成金が降り始めている模様。そう、アイルランドはここ数年ITバブル景気だったのだ。ポーランドや中国から移民をどんどん受け入れ「The land of thausand of welcom」と呼ばれていたのだが、今は頭打ちのようだ。
夜に観たCorn exchangeの作品は、残念ながらピンとこず。フィジカル・シアターで、コメディア・デ・ラルテ風のメイクを施し、アイルランドに生活する人々の何気ない日常と仕草がちりばめられている作品。音楽と美術はきれいであったが、フィジカル~にしては身体トレーニングが出来ていない人もいるし、うーん。。約10ヶ月のワークショップで、役者たちの動きを作家がスケッチしながら作品をつくりあげた、という。苛められるウクライナ人の移民の姿が痛々しくあったし、レジに並ぶ人たちの会話など面白い部分もあって、やろうとしていることはわかるのだが…。でも、観客は湧いており、劇評もどれもべた褒めらしいのだ。好みの問題なのか文化の違いなのか??
観劇後、再びShipley氏と世界の演劇シーンの四方山話。ダブリンフェスは3年契約、今期で2年目なのだが、トロントのStradford Festival の芸術監督のオファーがあり、来期はそちらとの掛け持ちになるそう。ファンドレイズの工夫や、若手育成のアイデア、今後の動向の読みなど、非常に参考になる話をたくさん聞かせてもらう。アイルランド最後の夜は、期せずしてフェスティバルディレクターと過ごすことになった。
by sankt
| 2006-10-16 22:09